オレのStand by me

d0337302_17435844.jpg
 オレが大学に入学したのはちょうど30年前。誰も知らない土地で一から友達を作るのは、オレみたいな性格の人間には難しいことだった。しかも入学早々出だしでコケてしまったのが尾を引いて親しく話せるクラスメートが出来たのは後期に入ってからだと思う。コケたといっても、大したことじゃなかったんだけども。
 ちょうど今ごろ、授業が始まりよりお互いを知ろうという事で初めてのクラスコンパが開かれた。集合場所は渋谷の109前。なんで駿河台にしなかったんだよ。田舎者のオレには駅の何口から降りればいいのかも判らない(事前にぴあマップで場所を確認していたんだけどね)。結局の所集合時間には間に合わず、しばらく待っていたけれども誰も現われなかった。1人でアホ面して1時間近く待っていた訳だよ。そんな事があったので、なおさらの事腐ってクラスメートと親しく交わらなかったのだよ。

 そのまま帰るのはもったいないので、新宿で映画を見てから帰る事にした(渋谷はまだ何処に何があるかさっぱり把握していなかったのだ)。ついていない時はついていないもので、2本映画を続けてみたら、終電を乗り損ねてしまった。しょうがないのでさらに深夜上映の回の映画を見て始発電車を待つ事にした。場所はコマ劇場の前の映画館街。その当時は真ん中に噴水があって、ラグビーの明早戦の後なんかだと、学生が噴水に飛び込んでいたものだった。オレは結局一度もラグビーの試合は観なかったけどね。ラグビー日本代表の吉田義人がクラスメートだったのにね(彼がそんな有名人だったというのは4年生なる頃に初めて知ったw)。
 いくつかの館を回ると1時ぐらいから「Stand by me」を上映しているでは無いか。これは浪人中から見たくてしょうがない映画だった。まさか、こんな時に見られるとは。映画館内はオレみたいに始電待ちの人なんだろうか? 深夜の1時なのに人でいっぱいだった。人気のない田舎から来た人間にとって、こんな時間に人が溢れているのがとても驚きだった。

 誰も頼るものが無い環境に暮らし始めたばかりのオレにとって、あの映画はとても勇気と郷愁をかき立てられた。田舎の子供にとって、誰もが経験したようなちょっとした冒険。大人になってすっかり忘れてしまった、でも心の何処かに消え去る事なく残っているそんな思い出がつまった映画がStand by meだった。親達に内緒で秘密の計画を立てて、子供達だけで森の奥地に探検に行く。映画は死体を見つけに行く冒険だったが、10歳程度の子供にはどんな小さな事でもワクワクする体験だった。そんな冒険がつまっているのがこの映画。そんな忘れてしまったと思っていた記憶が蘇り、映画館を出る時に泣けてしょうがなかった。朝4時の朝焼けの人込みの中をトボトボと駅に向かった。映画の主人公たちのように。

 斜里の北の外れに自動車学校がある。学校の練習コースの東側は春の雪解けの水が溜まり夏過ぎまで水深30〜40cmの沼地になっている。今はオートバイの教習コースになっている所だ。その沼地が極く一部の子供達しかしらない秘密の遊び場だった。街中では見つけづらいミズカマキリ、大型のゲンゴロウ類、ヤゴ各種がそこに行けばとれ放題とれる。虫取りに夢中になっていると、腕にヒルが張り付いているなんてこともあった(玉袋じゃなくて良かったよ)。
 ある日同級生達とその沼地で虫取りをしていたら、「骨だ!」と叫ぶ奴がいる。その声にみんなが反応して集まってみると、奴の指さす先に何かの白骨が沢山泥の中から突き出していた。「これ人間の骨なんじゃないか」と言う奴がいる。「だったら警察に届けなきゃ。」

 子供達7人でその骨を拾い集め、落ちていた車のホイールキャップを容器替わりにして警察署にもって行く事になった。ホイールキャップに満載された骨は水分を含み以外と重く、自動車学校から斜里警察署まで運ぶのに30分はかかった。
 警察署について早速警官に「人間の骨を見つけました」と見せてみると、その警官は一瞥して、「これは犬だね」とあっさりと言った。その瞬間の子供達全員の脱力した顔は忘れられない。がっかりした事もあり、家までの帰り道の足の重い事。
 7月は昼がとても長いのでついつい遊び過ぎてしまう。まだ夕方だからと思って、家に帰り着くともう19時30分過ぎ。「どこでこんな遅くまで遊んでいたの!。足も濡れてびしょびしょじゃないの!」といつものように母に怒られた。

 これがオレのStand by me。ただ疲れて、怒られて。子供はささいな興味に突き動かされて何かをするが、大抵ロクな結果にしかならない。そんな経験を積んで、少年は知らないうちに大人になってしまうんだな。

[PR]
by kararachan | 2017-04-18 17:46 | 映画 | Trackback | Comments(0)
トラックバックURL : https://karara.exblog.jp/tb/24100382
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
名前
URL
画像認証
削除用パスワード
<< 孤独のメッセージ Messag... Allan Holdswort... >>