The Kinksは生きていた! U.K Jive!

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 1989年の初冬。いつもの様に大学の授業の前にディスクユニオンに寄って見た。お茶の水店は2階が洋楽コーナー。何か面白いものは無いかと物色していると、その時店内に流れている曲が頭に突き刺さった。マイナーコードのスローなテンポで始まったその曲は、突如高速展開に切り替わる。それに合わせてもごもご歌うボーカルも、突如熱唱に切り替わる。最初パンクかと思ったが、遥かに洗練されたバンドサウンド。メロディーが良い。そして、この声は何だか聞き覚えがある。
 レジ前に今かけているCDが立て掛けてあるので、これはいったい何なんだ? と、それを見てみると空のスーツがポーズをとっているジャケットが置いてあり、The Kinks U.K Jiveと記されていた。

 The Kinksは中学高のころから好きなバンドで、大学に入ってからは過去の音源を発掘して聞き続けていたが、オレの中ではもうベンチャーズのような創造性の枯れた古びたロックバンドだとこの時まで思っていた。
 ところが、今ここにあるCDは非常にモダンな、正に今を生きている現役ロックバンドの音。現われては次々と消えて行く若手バンドと真っ正面からぶつかり、オレ達はいつだって現役なんだという非常に強い意志がその曲から伝わってきた。過去の栄光に浸り、過去の遺産で食いつないで行くバンドとは違うのだよと、そのアルバムは語っていた。

 The Kinksはその時からオレにとって過去の遺産ではなくなって、正に今この同じ時代を感じ生きているロックバンドになった。歳はとっているけれども、今の自分たちの夢、憤り、不安を同じように感じて、それを歌にしている、今を生きるバンド。オレは驚喜したね、The Kinksは生きていたと。
 なんせ、今と違いロック雑誌を見ても流行りのバンドしか取り上げられず、ましてThe Kinksの様な日本ではビートルズを1列目に例えるなら、5列目、6列目に位置するバンドは、ほとんど情報が入ってこない。レコードだって、ほとんど廃盤で、輸入盤で買うしかしょうがない状態だった。

 そんなとうの昔に消滅したThe Doorsの様なバンドと思っていたThe Kinksだったが、生きていたのみならず現役バリバリだったと言う事を知るのは物凄い衝撃だった。なんだか昔生き別れた友に偶然再開したような喜び。そんな事もあってか、このアルバムはThe Kinksの作品の中で一番よく聞いたなぁ。
 このアルバムの中では、1曲目のAggravationが一番好きで、どんどん国が悪くなって行く様にいらだちを募らせる歌詞にあわせてか最初はパンク調で始まるというのに、最後はディスコ調のグルーブ感で曲を終えるという不思議な構成が面白い。2曲目How do I get close to youは好きな女性にどうしたら親しくなれるのだろうと嘆く極私的な歌詞と切ない曲調に泪が出たね。ちょうどオレもそんな時期だったもので(まあその女性って言うのが、今の女房なんだけどね)。
 8曲目のDown all the daysは1992年のEU統合への賛歌で、EU結成がヨーロッパの市民にとってとても喜ばしい明るい未来として描かれているけれども、25年経過してこんな事になるとはね。アルバムはその時々の時事を反映する側面があるのも面白いと思う。自分やその当時の世相が、アルバムを聞く事によって思い出すのも過去の作品を聞く楽しみだと思う。

 今はレコード店(←あえて死語を使う)になんかは、注文したアルバムが届いたよの連絡がないかぎ足を運ぶ事が無くなってしまった。今は事前にあれこれ情報が来るので、あれこれ調べてから購入している。なので、店内に流れている曲が気に入ってアルバムを買うなんて事は、もう昔の習慣になってしまった。昔はレコード屋が一番の音楽情報に触れる最前線だったのだが、何だか寂しい気がする。

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by kararachan | 2017-04-28 12:11 | 音楽 | Trackback | Comments(0)
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