アングラをオーバーグラウンドに引き上げた大槻ケンジ

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 ネクラ、アングラ、ネガティブ、ドロドロ、そんなものを暗い地の底から、光の当たる位置にまで引き上げたのは大槻ケンヂ(以下オオケン)の功績じゃないかなってオレは思っている。
 本来ならゲテモノ、アングラで終わってしまったはずの筋肉少女帯、だけれども何故かバンドブームの追い風を上手に利用して、そしてオオケンのおもしろキモいキャラクターが受けてしまって、メジャーになってしまった。1学年に1人や2人は新谷君みたいな暗くて、何を考えているか判らないから怖いなんて、女子に敬遠されているヤツは全国何処にでも居るだろう。実際オーケンもパンクでポンって曲で「オレはな、学生の時に女子と話しが出来無かったんだよ!」と絶叫している。オレも高校時代は、女子とは殆ど会話しなかったなぁ。オレも新谷君の事笑えないや。

 そんな何を考えているか判らないネクラ君が、普段は表に出さないその胸のうちを大胆にもさらけ出したら以外や以外、ボクも、私もそうなんだよ、と云うヤツが以外と大勢いた。それが筋肉少女帯がここまで受け入れられた理由じゃないかな。おまえ達はな、決して諸派なんてひと括りされる山本太郎と仲間達みたいなドマイナーじゃないんだよ。少なくとも共産党の支持率程度のメジャーな少数派なんだよと!。何だか何言っているか判らなくなったぞ。
 それはさておき、そんな日に当たってしまったアングラのオオケン、デビューから一貫して少しもブレていない。初めて宝島で筋少の写真を見た時は、絶対こいつら1年後には消えていると思ったものだが、それから30年も経ってしまった。そんな何度も虫に転生して、この度やっと再び人間に生まれ変わったと思ったら、オレ達少数派かよと云うそんなあなた方への応援歌。



 アングラをオーバーグラウンドに引き上げたのはオオケンの功績だと思っているのだが、その集大成は彼の初ソロアルバム「オンリーユー」だろう。このアルバムにはいろんなアーティストのカバー曲が収録されていて、そのどの曲もアングラの名にふさわしい楽曲ばかり。ばちかぶり、暗黒大陸じゃがたら、スターリン、遠藤賢司、左とん平w、空手バカボン、INU、PANTA&HAL、有頂天といったそうそうたる楽曲群。「あのさぁ、オレの青春はINUだったんだよ」、そんな奴回りにいたか? いたらきっとそいつは危ない奴。近寄らない方が云い(笑)。そんな恐ろしい歌曲を、オオケンの名のもとに、日の当たる所に引き上げられていいのか? 日に当てたら死んじゃわないか? 水木しげるのマンガの妖怪みたいに?



 オオケンは1990年前半にモグラネグラと云う深夜TV番組(オールナイトニッポンみたいにパーソナリティーが日替わりで、鈴木慶一とかローリーとかもやっていた)の水曜日ぐらいを担当していて、ある時オオケンそっくりの新人歌手がスタジオにやってきた事があったんだよな。斉藤和義って云う人で、フォークロックみたいな、つかみ所のない曲のPVが流れた。平坦で振幅のないメロディーのつまらない歌を歌う歌手だったが、素顔のオーケンに似ているのがおかしくて印象に残っていた。正直、この人は売れないなぁと思っていたけど、20年経ってこんな事になるとはね。忘れてたよ、オーケンはアングラだけど、斉藤はメジャーだったんだね。支持層が広いとこういう事になるってわけだ。

 オーケンのようなパーソナリティーは、大多数には受けないけれども、極少数のコアなファンが付いているから番組が成り立つのだろうか。つい数年前まで、「オーケンののほほん計画」という番組がBSでをやっていた。低予算の割にはユニコーンの出身母校をメンバー達と訪ねる旅をしたり、地味に面白かったよ。中でも一番印象に残っているのは、サマーフェスの各アーティストの楽屋訪問。事前に事務所の承諾を得ていないからと、ユニコーンの奥田民生は写さないように取材していたりしていた。
 オーケンが次の楽屋に移動しようとしたその時、かわいらしい女性2人組が彼の前にやってきて、是非私たちのアルバムを聞いてくださいと云ってCDを渡すシーンがあった。いかにも新人然とした素人臭いバンド。番組内に組み込まれたたアーティスト宣伝なんだなと思って見ていた。こういう番組は、レコード会社からの広告で成り立っているんだろうな、と漠然と見ていた。バンド名はハルカトミユキ。何だか線が細そうで、明日になれば全く印象もなにもかも忘れているなぁと思っていた。オオケンがCDを受け取り、あとでじっくり聞かせてもらいますよと彼女達に約束。そして彼女達のPVが流れた。たった数十秒のPVなのに、十分なインパクトがあった。類は友を呼ぶなのだろうか。ここ数十年聞いた事の無いダークな歌。これはきっとオオケンが本気で紹介しようと、番組に出したんだなと気がついた。オーケンプッシュのアングラバンド。オレは必死でバンド名をメモしたさ。
 彼はこうやって、同じ匂いのする他のアーティストを引っぱり上げる。一緒に成長するから、いつしか温かく見守る立場に変わったオーケン。こういったほぼ同い年のアーティストが一緒に年老いて行くのも悪くない。

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by kararachan | 2017-08-12 12:02 | 音楽 | Trackback | Comments(0)
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