日本のロックの黎明期が記録されている「極東ロック・レアトラックス」

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 これは社会人になって直ぐ頃の事だと思う。その頃ゼミOB会があって、2次会はカラオケになだれ込んだんだな。その時にオレは調子に乗って、巻上公一のイヨマンテの夜を歌った事がある。いやあぁ、回りの連中みんな引いたね。電車に乗ってて隣の人がゲロしたみたいに、さーーーっと。「これ何の歌?」「右翼の歌かなぁ」なんてヒソヒソ会話が聞こえてくる。でも歌いはじめたらもうどうしょうもない、最後まで巻上になりきって朗々と歌い上げたさ。今思い出しても冷汗が滴り落ちる。

 オレが何でそんな阿呆な事をしたかというと、ちょうどこの頃に「極東ロック・レア・トラックス」というコンピレーションがえらく氣にいってて、愛聴していたんだな。中でも一番最後のトラック、巻上公一の「イヨマンテの夜」を。
 それと同じ頃、ワハハ本舗の梅垣義明が、この曲を流しながら全身金粉、そして巨大なペニスサックを付けて腰をフリフリ暴れるというネタをテレビやっていた。どうもそんな番組を喜んで見ていたのは、ごく一部だったようだ。この歌を歌えば受けると勘違いしたオレの暴走。ちなみに、梅垣のこの芸は、TV局にウタリ協会から抗議があったようで、永遠に封印されてしまったそうだ。そりゃあアイヌは怒るわ。それ以外にも、このころは(25年前)今じゃ放送できないような番組が多かったな。

 このコンピレーションを聞くと、そんなオレのおセンチな青春時代が蘇る。
 収録曲は下記の通り。東芝EMIに残されていた、お蔵入りしたレアな音源をこれでもかと収録した作品。

1 どろだらけの海 / RCサクセション
2 涙でいっぱい / RCサクセション
3 花が咲いて-別バージョン / ジャックス
4 ロール・オーヴァー・ゆらの助-別バージョン / ジャックス
5 ほんとだよ / 遠藤賢司
6 夜汽車のブルース / 遠藤賢司
7 恋人達の願い / ハプニングス・フォー
8 御意見無用-いいじゃないか 日本語バージョン / モップス
9 たどりついたらいつも雨ふり / モップス
10 汽車 / 久保田真琴
11 カントリー・ドリーマー-英語バージョン / ブラウン・ライス
12 くりかえし / クロニクル
13 遠い日々-Days In The Past-シングルバージョン / コスモス・ファクトリー
14 ピクニック・ブギ-Live- / サディスティック・ミカ・バンド
15 銀河列車-Live- / サディスティック・ミカ・バンド
16 SPINNING TOE-HOLD NO.2 / CREATION
17 フレッシュ・ベジタブル / マジカル・パワー・マコ
18 イヨマンテの夜-熊祭りの夜 / 巻上公一


 1曲目のRCは極初期のフォークトリオ時代の演奏。1970年発売されたシングルのB面との事だ。フォークなのに、とってもR&Bの香りがする。そしてもうすでにガタガタと歌っている清志郎さん。たぶん彼が18か19歳の頃の録音のはず。


涙でいっぱい / RCサクセション

 実はこのCD、3と4曲目のジャックスの歌が目的で買ったものだった。この頃ずいぶんとジャックスに入れ込んでいて、インディレーベルで発売された彼らの2万円近いボックスセットなんかも買ったなぁ。そんなんで、こんな未発表バージョンがある聞けば、こんなアルバムまでチェックしていたのだ。
 この別バージョンの花が咲いては、とってもディープにエコーがかかっていて、まるで深海の底でジャックスが歌っているようだ。彼らの幽玄性がより強まっていて、オリジナルアルバムのバージョンよりもこの方がオレは好きだな。

花が咲いて / ジャックス
これはアルバムバージョン。これでも十分海の底


 オレにとってもう一つの目玉はモップス。実はおれ高校時代にこのバンドを知ってしまっていた。スズキヒロミツは日本を代表するスーパーボーカリストだと思う。当時渋谷陽一は「スズキヒロミツが歌わないのは犯罪だ」なんて、再発LPの帯に惹句をよせていたが、正にその通り! ぱっとしない俳優としてその生涯を終えてしまわれたのが残念でならない。
 そんなモップスのパワフルな演奏が、ここには2曲収録されている。御意見無用は英語バージョンで発売されていたらしいが、これは日本語。もう、星勝のギターが爆裂していて、ドラムはカミナリさまのよう。そしてスズキヒロミツはもう、仁王像のような形相で歌っていそうなこの曲。もうサイコー。ハードロック、サイケ、そして日本民謡が合体した、ロック黎明期の奇跡のような傑作だと思う。
 続く「たどりつけばいつも雨ふり」は、吉田拓郎のカバーなんだけど、ずしっとしたハードロックに仕上がっていて、オレはおしっこを漏らしそうになるな。

御意見無用 / ザ・モップス


たどりついたらいつも雨ふり/ザ・ モップス

 そんな雑多な印象のこのアルバムなんだが、最後の最後で巻上公一が全部をかっさらって行く。もう、これまで聞いていたこのアルバムはいったい何だったんだろうというくらい、この曲のインパクトの前に、その前の曲全てが霞んでいってしまうな。おかげでオレは恥をかいたw

イヨマンテの夜 / 巻上公一
youtubeには見つからなかったけども、ニコニコに音があった。聞け!この巻上公一の熱唱を

極東ロック・レア・トラックス」1989.8月発表。東芝EMI CT25-5579
 東芝EMIと言えば、このアルバム発売の前年にRCサクセションの「カバーズ」が発売中止になったんだよな。「素晴らし過ぎて発売できません」。発売中止にするのはアルバムじゃなくて、親会社の原発だろうよ。
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by kararachan | 2018-05-11 17:23 | 音楽 | Trackback | Comments(0)
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