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保険屋メイデン、アイアンメイデン

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 もともとThe policeやBill Joelみたいなものを聞いていた少年が、Heavy Metal(以下HM)なる響きの言葉を初めて聞いたのは13歳の春。1980年だった。HMという何だかおどろおどろしい響きに未知の世界を感じ、実際に聞いてみるとそれまでに聞いた事の無い、激しく攻撃的な音にわくわくした。

 その中でもというか、オレにとってHMとはIron Maidenその物だった。他のバンドはただゴリゴリとしたリフばかりで面白みがない。それに対してMaidenは曲の緩急、転調、リフレーンが聞いていて面白く、とてもメロディアスだったのが気に入っていた。

 洋楽を聴く友達が回りにもちらほら現れ出して、その中にハードロックを好む奴らも出てきたが、何故かこの時点、同級生の間ではIron Maidenはさほど人気がなかった。江刺と云う同級生は「Iron Maidenはへたくそだから好きじゃない」と言って馬鹿にしていた。Iron Maidenが下手だって、彼は何を聞いているんだ? とオレは内心彼を馬鹿にしていた。

 その後NHKーFMでIron Maiden初来日を記念して彼らのライブを放送した。土曜日の午後4時代だったと思う。田舎の書店でBGMでそのラジオをかけていてHMが店内に響いていた。その放送を聞いてた江刺は「Iron Maidenスゲーカッコいいな」と手のひら返し。その後奴はMSG、Judas Priest、Def LeopardだのHMばかり聞いている高校生になってしまったが、逆にオレはパンク贔屓になってしまった。

 きっかけは初期のUltravox。それからThe Jamに熱中し、高校生の時にSex Pistolsを友達から聴かされ完全にパンクロックに目覚める。その頃FM番組の渋谷陽一のサウンドストリートやロッキング・オンにすっかり感化され、おまけに純化主義のオレはHM嫌いになってしまった。へそ曲がりなオレ。江刺とは再び音楽趣味が逆になってしまったわけだ。

 オレはパンクだからHMなんか聴かないぜ! と意気がっていたものの、やはり三つ子の魂百までもで、中学時代に何度も聴いたMaidenのリフは忘れる事はなかっった。大学時代の友達とロックの話になり、Maidenの話になり盛り上がる。そうこうするうちに懐かしくなって、1stアルバムIron Maidenを買ってしまってからは、パンクロックが好きだけど、メタルもO.Kなハイブリッドなオレになってしまった20代前半。

 きっとオレの世代のロックファンはみんな似たり寄ったりで、パンクもHMも好きと云う奴が結構多いんじゃないかな。Nirvanaが出てきた時、彼らの音を聞いて、きっとオレと同じような音楽遍歴をしてきたんだろうと云う考えが頭に浮かんだ。国は違えども世代は全く一緒。Kurt Cobainも同じような音楽を聴いて育ったんだろうな。

 Iron Maidenの初期のボーカリストPaul Di'Annoは今やデブのハゲに成り果てて、おまけに車いす生活になってしまったようだ。時の流れは残酷だ。ベーシストのSteve Harrisは今も若かりし頃とそんなに変わりない。ロングのウェービーな髪型に年相応の顔のしわ。でも彼を見るたびに、オレの会社に営業に来る保険屋のおばちゃんの姿が重なって見えてしまう。時の流れは滑稽だ。

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by kararachan | 2016-04-09 22:08 | 音楽 | Trackback | Comments(0)